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うつで休職する社員との引継ぎのコツ

社員がうつで休職するとなると、待ち構える最後のハードルが業務の引継ぎというもの。休む当人にとって、引継ぎが上手くいくかどうかはその後のメンタルに大きく影響するし、残された組織側にとっても、その後の業務をスムーズに進めるために絶対に必要なこと。

自分自身が休むことになった経験を通して、どうしたら有意義な引継ぎになるか、会社側の視線に立ってポイントを残しておきたい。

 

その1. 会社に呼び出さない

 心療内科で診断書をもらったうつ病患者は、最後の力を振り絞って上司に話をしにいくもの。休むことが決まった後、当然引継ぎ作業が必要になるが、この時点ではそんなことに気がまわっていない。ここで大切なのは、引継ぎの場所。休職を承諾し、後日引継ぎに会社へ来いと言っても(会社側の権利としては)もちろんよいのだけど、うつになるまで頑張り病院へ行き上司へ話をし、HPがほぼゼロになった社員へ追い討ちをかけるようなマネはしない方が良い。私の場合、ほとんどの仕事を共有しながら進めていたので大きな引継ぎ事項はなく、メールで済ませることになった。それでもメールの作成は大変な重荷で、めまいに耐えながら文章を仕上げた記憶がある。これが(自分を追い詰めた)会社に行って直接となるとさらに状況は悪くなり、早く終わらせることばかり考えて有意義な引継ぎは出来ないのではないだろうか。引継ぎをしっかりしないアイツが悪いと責任転嫁するのは簡単だが、当人の為にも、残された組織側の為にも、なんとか引継ぎ作業をうまく成功させる必要がある。その為には、まず会社に呼び出すという選択肢は捨てる方が懸命だ。

 

その2. 近すぎず遠すぎない、静かな場所で

会社に呼び出さないとなると、電話やメールか、他の場所で、ということになるが、後者をオススメする。コミュニケーションの基本が対面であるように、業務引継ぎに関しても対面で行ったほうがより良い成果が得られる。電話やメールでは本当でない自分を作り上げてしまう傾向があり、引継ぎで最も大切な"目に見えない想い"(後述)を引き出せない可能性があるためである。休職者は極度の緊張状態にあるので気を遣う必要はあるが、「大変なところ本当に申し訳ないけど」「しっかりと休んでもらう為にすっきりする場だと思って」と声をかけ、出来るだけリラックスできる場所に誘導したい。

場所は会社以外であればどこでも良いが、通勤や外回りの社員が頻繁に通るような場所ではなく、本人の家からも遠すぎない地区の喫茶店が良い。うつ患者は声が小さい場合もあるので、若者でにぎわうカフェではなく、客の少ない静かな店が望ましい。間違っても昼下がりのおばさま達が会話を楽しむファミレスで待ち合わせてはいけない。

 

その3. うつで休職した他の社員の話をする

良い雰囲気の場所で待ち合わせが出来たら会話を始めるわけだが、もし時間が少しあって雑談が出来るようであれば、他のうつ病社員の話は役に立つかもしれない。うつになった本人は「自分がおかしな奴だから、こんな変な病気になってしまった」と思いがちで、もしいるなら他のうつ病社員のことを知りたいと考えている。コンプライアンス上特定の社員の名前を出すことは難しいかもしれないが、もしいるのであれば、うつで休む人がどれくらいいる(いた)のか、どの部署にいる(いた)のか、どれくらいで復職したのか、そういった話をしてあげると「意外といるな」「自分だけではないんだ」という気持ちが芽生え、少しは気が楽になる。そういった意味では、人数や休職期間は少し盛って話をするのも有効かもしれない。

 

その4. 心配ごとを引き出す

誰しも好きで休職期間に入るわけではなく、本当は自分がこの仕事を続けたいと悩みながら休職する。ということは当然、仕事にかけていた想いもあるはずだし、人知れず気にかけていることもあるだろう。この取引先は対応が遅いから注意が必要だとか、この作業はこうすればもっと効率よく進められるとか、管理簿上は問題なく見えるけどココに問題点を抱えているとか・・・。こういった、業務を遂行している本人しか知らないようなこと、思いつかないようなことを引き出してやることが、引継ぎの際にはとても重要になる。目に見えること(連絡先や残作業・事務手続きの共有)だけでなく、こういった目に見えない想いを引き出すことは、引継ぎ後の業務を円滑に遂行する為であるのはもちろん、当人にとっても「自分がいてよかったんだ」と認めてもらえた気持ちにもなるし「これだけ伝えることが出来たから、後は任せた」と肩の荷を降ろしてしっかりと休むことが出来るだろう。

 

とつぜん仕事に穴を開けるのは簡単に許されることではないけど、仕方なく休むこともある。そんなとき、休職者と残された組織、お互いの為に、気持ち良く有意義な引継ぎがしたいものだ。