簿記2級合格までの記録 その12 - 「なお、○○○は現金で支払った」場合のルールについて(付随費用の取扱い)
勉強時間 50時間 / 累計 123時間
過去問の出来の悪さにブログを放っぽり出して勉強にいそしんでいます・・・。
勉強時間は今後誰かの役に立つかなと思ってマメに記録しているけど、
今回はざっくり5時間 x 10日。
過去問をやっていて気付いたが、簿記2級の試験は第1問目の仕訳問題がとても大切。3級に比べると文章が長ったらしくて複雑に見えるが、たった5問の仕訳問題で20点が確保できるのは効率が良い(これに対し、例えば第3問目の精算表で腱鞘炎になるほど仕訳を切りまくっても、それだけでは1点ももらえない)。そんな第1問目、手数料等を借方に含める/含めないで何回かミスをしているので、この際整理しておきたい。よく「なお、○○○は現金で支払った」と記述されるアレのこと。仕訳問題に部分点があるのか知らないけど、出鼻をくじかれない為にも自信をもって回答したいので。
ex. 第134回 第1問 2.
青森商店に委託販売のため、商品\300,000(売価\450,000)を発送し、発送運賃\8,000を現金で支払った。また、この商品については運送会社より貨物代表証券の発行を受け、取引銀行にて荷為替\200,000を取り組んだ。なお、割引料\800を差し引かれ、手取金は当座預金とした。
・・・長ーいっ!
「なお」は無いけど、現金で発送運賃\8,000を支払っている。この場合、正解は
借方 | 貸方 |
---|---|
(積送品) 308,000
(当座預金) 199,200 (手形売却損) 800 |
(仕入) 300,000 (現金) 8,000 (前受金) 200,000
|
となるが、例えば一つ目の借方を
(積送品) 300,000
(発送費) 800
としてはNGである。委託販売の際の諸掛りは、積送品の原価に含めて処理することがルールだからだ。この問ではご丁寧にも、勘定科目のリストに"発送費"が載っているのでややこしい。
このような例を整理し、借方に含めるのはどんな場合か、独立させるのはどんな例があるか、まとめておきたい。
1. 仕入諸掛り 含める!
先に購入していた船荷証券\15,000につき、商品が到着したので船荷証券と引き換えに商品を引き取った。なお、その際にかかった引き取り費用\500は現金で支払った。
借方 | 貸方 |
---|---|
(仕入) 15,500
|
(未着品) 15,000 (現金) 500 |
仕入に付随する費用(未着品の引取費用や運賃、保険料)は仕入原価に含める。
ちなみに船荷証券は"ふなにしょうけん"と読む。せんかしょうけんだと思ってた・・・。
2. 売上諸掛り 含めない!
商品/8,000を売り上げ、代金は掛けとした。なお、発送費\500(当店負担)は現金で支払った。
借方 | 貸方 |
---|---|
(売掛金) 8,000 (発送費) 500 |
(売上) 8,000 (現金) 500 |
売上諸掛は発送費として処理する。
3. 固定資産の取得付随費用 含める!
出店用の土地165m2を1m2あたり\20,000で購入し、購入手数料\100,000を含む代金の全額を後日支払うこととした。また、この土地の整地費用\50,000を現金で支払った。(日商簿記検定3級 第139回 第1問 2.)
借方 | 貸方 |
---|---|
(土地) 3,450,000
|
(未払金) 3,400,000 (現金) 50,000 |
固定資産の取得に付随する費用は、固定資産に含める。
4. 積送諸掛り 含める!
東京商事は委託販売のため、商品(仕入原価\6,000、販売価額\8,000)を神奈川商事に発送し、発送運賃\100を現金で支払った。
借方 | 貸方 |
---|---|
(積送品) 6,100
|
(仕入) 6,000 (現金) 100 |
積送品の発送運賃は積送品原価に含める。
5. 不渡手形請求諸費用 含める!
かねて得意先より裏書譲渡されていた約束手形\80,000が不渡りとなったので、得意先に対して手形代金の償還請求を行った。なお、償還請求にともなう費用\2,000は現金で支払った。(日商簿記検定2級 第138回 第1問 2.)
借方 | 貸方 |
---|---|
(不渡手形) 82,000
|
(受取手形) 80,000 (現金) 2,000 |
不渡手形の請求費用は、不渡手形に含める。不渡手形が回収できたときは、請求費用も一緒に巻き上げる、ということ。
6. 固定資産の廃棄費用 含める!
当期首において、機械(取得原価\240,000、減価償却累計額\200,000、直接法で記帳)を廃棄した。なお、廃棄費用\2,000は現金で支払った。
借方 | 貸方 |
---|---|
(固定資産廃棄損) 42,000
|
(機械) 40,000 (現金) 2,000 |
固定資産の廃棄費用は(全額)廃棄損として処理する。
7. 有価証券の購入付随費用 含める!
奈良商事株式会社の社債\3,000(額面総額)を、売買目的で額面\100につき\94で購入し、代金は売買手数料\30とともに現金で支払った。
借方 | 貸方 |
---|---|
(売買目的有価証券) 2,850 |
(現金) 2,850 |
売買手数料等の付随費用は、有価証券の購入代に含める。
(8. 材料副費 含める!)
当月、素材500kg(購入代価1,500円/kg)、工場消耗品40,000円(購入代価)を掛けで購入した。なお、購入に際しては、材料副費として63,200円を予定配賦している。(日商簿記検定2級 第136回 第4問 (1))
借方 | 貸方 |
---|---|
(材料) 853,200
|
(買掛金) 790,000 (材料副費) 63,200 |
ちょっと毛色が違うが、工業簿記において材料副費を計上する際は、材料費に含める。
(9. 繰延資産 含めない!)
会社の設立にあたり株式200株を、1株600円で発行し、全株式の払い込みを受けて払い込み金額は当座預金とした。なお、会社法の定める原則額を資本金とする。また、株式の発行費用2,000円は現金で支払った。
借方 | 貸方 |
---|---|
(当座預金) 120,000 (創立費) 2,000 |
(資本金) 120,000 (現金) 2,000 |
こちらもちょっとジャンルが異なるが、創立費などの繰延資産は受入れ金額に含めない。同様の扱いをするものに「株式交付費」「社債発行費」「開業費」「開発費」がある。
以上から、「なお、○○○は現金で支払った」場合のルールとしては
売上諸掛り(と繰延資産)を除き、付随費用は基本的に借方に含める!
と覚えておけば良さそう。なんだ、かんたん。