簿記を勉強するメリット
簿記を勉強しようと思った理由(メリット)について整理しておこうと思う。
●お金の分かるエンジニアをアピールする
我々理系の人間にとって、お金の話はとっつきづらく、とかく違う世界の話のように認識してしまう傾向がある。学生のときは特にそうだし、社会人になっても苦手な人は多い。本人が苦手なだけであればまだ良いが、会社によってはお金=事務屋、技術=技術屋と役割が完全に分かれているかのような業務分担になっていたりして、お金のことに触れるチャンスが限りなくゼロに近い人もいるだろう。
死ぬまで会社が面倒を見てくれれば良いものの、何があるか分からない世の中、「お金のことはサッパリ分かりません」なんて状態で会社から放り出されない為に、若いうちからお金のことは勉強しておいた方が良いと思う。
・・・で、勉強したいなら勝手に勉強すれば良いんだけど、簿記検定という資格の形を求めるのは、対外的に認知してもらう目的がある。せっかく勉強するなら、勉強したことを知ってもらった方が良い。転職に、昇進に役立つかもしれないし、単に「こいつ、何かやるじゃん」と思われるだけでも悪くない。実際のところ簿記をとったから何ができる、というわけじゃないけれど、お金のこと少し分かってますよアピールをするために、簿記をとるのだ。とった後で、必要に応じて何ができるか模索していけば良い。簿記を踏み台に知識を拡げていけば良い。世の中でまず評価されるのは何ができるかという言葉じゃなくて、何をしたか(=資格をとったか)という実績なのだから。
余談だけどこの考え方はTOEICにも通ずるところがある。800点、900点とっても英語が喋れない人はたくさんいるけど、TOEICの点が高いとそれだけで一目置かれたり、英語を使う(面倒な)仕事が回ってきたりする。そんなとき「TOEICが高いから英語喋れるわけじゃないのに。人事は何も分かってない」と思いがちだけど、それは違うと最近ようやく気付いた。全然知らない人の英語力を評価しようとしたら、TOEICスコアという定規を使うしかないのである。で、たまたまでも、試験だけ得意なタイプだったとしても、TOEICの点数が高いのであればそれを利用すれば良い。ありがたく評価されておけば、英語を使うチャンスにも恵まれる≒喋れるようになる、のではないだろうか。
簿記でもTOEICでも大切なのは、authorityに認められているという既成事実。実力は、その後つけていけば良い。
●財務諸表を身近なものにする
就職をするにしろ投資をするにしろ、相手(=会社)のことをよく知るに越したことはない。会社を表す資料として代表的なのが決算書であり、「決算書を読めば会社のことは全て分かる」と言われたりもする。しかし、立派な会社員の方であれば読めて当然なのかもしれないが、予備知識なしに読み方を勉強しようとしても、なかなかハードルが高いものである。学生時分に少しかじってみたが、いきなり粗利だ経常利益だと言われてもよく分からず、挫折したことを思い出す。
簿記の勉強をしようと決めた当初は、簿記を学べば、決算書を読み解く力が身に付き株や投資の役に立つと思っていたが、これは少々虫の良すぎる話であったようだ。勉強中の今分かったのは、「簿記を学んだから財務諸表が読めるようになるわけではないが、少なくとも体系的に、実感をもって学ぶ良い導入方法にはなる」ということ。近道ではないにしろ、たとえば損益計算書の構成や定義が嫌でも頭に入ってくるから、決算書の読み方を勉強する良い土台にはなるだろう。試験に受かろうと思えば何度も何度も繰り返し頭に叩き込むから、そう簡単には忘れない。この作業によって決算書に通ずる簿記の知識が血となり肉となり、その後知識を広げていく際に必ず役に立つと考える。
決算書がスラスラわかる 財務3表一体理解法 (朝日新書 44)
- 作者: 國貞克則
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
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こんな本とか
こんな本を読むのは、簿記の勉強をした後でも良さそうだ。「簿記なんか学ばなくても決算書は理解できる」という人もいるし、そういう本もあるけど、簿記を土台にして悪いことはないだろう。今日明日読みこなさねば!という人は別として。
まとめてみるとそこまで魅力的でもなかったかな。とりあえず、社会人にとって良い勉強(=教養)になって、ちょっと箔がついて、決算書を読む土台になって、難易度もちょうどよくて、一生有効で、・・・これだけあれば良い資格ではなかろうか。
以上